巻頭言
リハ医療とは全く無縁な指標
水尻 強志
1
1公益財団法人宮城厚生協会長町病院リハビリテーション科
pp.91
発行日 2017年2月10日
Published Date 2017/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200840
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院長という職務柄,各種施設基準が満たされているかどうか,必ず会議を行いチェックするようにしている.特に,回復期リハビリテーション病棟入院料1関連の施設基準に関しては,クリアしないと多大な損失につながるため,慎重に対応している.病院全体としては大丈夫でも,病棟ごとにみると達成が微妙な指標があることが月半ばになってわかり,急遽対策をとらざるをえなくなることもある.これら施設基準のなかには,リハビリテーション医療と全く無縁な指標を起源とするものがあり,いつも釈然としない思いに駆られる.
在宅復帰率(70%以上)に関しては,明快な指標であり,求められる水準も適切である.また,今年度から導入された実績指数(27以上)という基準も,FIMを土台としており違和感は少ない.FIMは,日本リハビリテーション医学会評価・用語委員会の調査で最も使用されている臨床指標であることが明らかになっており,リハビリテーション科専門医としてはむしろ大歓迎である.ただし,計算式のなかで,FIM運動項目利得の合計を入棟期間・算定日数上限比の合計で割ることになっているが,状態ごとに定められた算定日数上限は恣意的な指標であり,臨床研究のアウトカム指標として使用すべきではないことを心しておく必要がある.なお,当院では,除外規定を使用しなくても余裕をもって実績指数の基準は達成できている.
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