グラフ 広島――27年を迎える
広島の無縁でない無縁仏
川上 重治
pp.50
発行日 1972年4月1日
Published Date 1972/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204354
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27年後の広島。いま広島の小学生に原爆が投下された日をきくと,その8割が知らないという。たしかに学校の教科書からは,その広島が,戦後年を重ねるごとにだんだんと削られ,消えていく。人々のなかには,あのいまわしい広島を早く忘れてしまいたいという者さえいる。
被爆者たちは数十年ぶりに天皇陛下と時の首相をはじめて広島に迎えた。そして,その日が晴天ならば,爆死した人たちが天地の間から炎熱の矢を放っているといい,雨天ならば死者の涙であるといった。
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