ケーススタディ 共に考える病院運営の盲点
収入の全くない状態の患者さんの援助
pp.608-609
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208630
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〔事例〕
Aさん(50歳)は自動車整備士としてタクシー会社で働いていたが,昭和58年12月自宅で脳出血を起こし救急車である病院に入院,家族の希望で1週間後,当院に転医してきた.転医時は,右上下肢の重度のマヒ,意識障害と失語症もあり,言葉を発することができず,寝たきり状態で全介助を要する状態であった.積極的なリハビリテーションにより,現在では短下肢装具とT字杖を使い,自力歩行ができるまでに改善してきている.しかし失語症は残り,理解力・判断力も低下している.
12月に倒れた日以降の会社からの給料は支給されず,健康保険組合に傷病手当金の請求をしたところ,不支給の決定通知が来た.その理由を調査してみると,昭和52年6月から高血圧症で,B診療所で治療を受けており,今回の脳出血の原因はその高血圧症と考えられ,それは発病から6年以上たっている.そのために「傷病手当の支給は発病から3年以内の範囲」に該当せず,とのことで,傷病手当は一日分ももらうことができなかった.
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