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はじめに
皮膚筋炎・多発性筋炎(dermatomyositis;DM・polymyositis;PM)は,四肢の近位筋や頸部前屈筋・体幹筋の障害1)のみでなく,嚥下障害や間質性肺炎など多彩な臨床症状を示す全身炎症性の自己免疫疾患である.DM・PMは自己抗体により臨床像や経過,さらに治療戦略や治療反応が異なる2).DM・PMのなかでも5%程度しかみられない抗SRP(signal recognition particle antibodies)抗体陽性筋炎3-6)は,急性発症する重度の筋炎症状を認め,ステロイド抵抗性でしばしば再燃・増悪し,機能障害が残存し日常生活動作(activities of daily living;ADL)が障害される例も多いとされている5,7-9).
Takadaら10)の報告では21例中12例で徒手筋力検査(manual muscle testing;MMT)3以下の筋力低下がみられ,全例で血清クレアチンキナーゼ(Creatine Kinase;CK)が異常高値を示していた.治療は21例中19例でステロイドが用いられ,12例が減量中に再燃を来した.8例はステロイドに加え免疫抑制薬やガンマグロブリン大量静注療法など追加治療が行われた.一方,間質性肺炎の合併は,21例中5例にみられ,Kaoら4)は13例中3例と少ないと報告している.リハビリテーションにおいては,この自己抗体を示した筋炎に関する報告はない.
今回,それぞれ異なる臨床経過を示した抗SRP抗体陽性筋炎3例の臨床像と経過を報告する.なお,発表に際して本人から書面にて同意を得た.また,この研究は金沢大学の医学倫理審査委員会の承認(No. 961)を得た.
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