Japanese
English
特集 スポーツ障害のリハビリテーション
体幹—腰部障害からのスポーツ復帰
Trunk-return to play of athletes with lumbar disorders
加藤 欽志
1
,
大歳 憲一
2
,
四家 卓也
3
,
紺野 愼一
1
Kinshi Kato
1
,
Kenichi Otoshi
2
,
Takuya Shike
3
,
Shin-ichi Konno
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学講座
2福島県立医科大学医学部スポーツ医学講座
3スポーツ & メディカルフィットネス リ・バース
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University School of Medicine
キーワード:
腰痛
,
腰椎分離症
,
腰椎椎間板ヘルニア
,
スポーツ復帰
Keyword:
腰痛
,
腰椎分離症
,
腰椎椎間板ヘルニア
,
スポーツ復帰
pp.581-586
発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200646
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はじめに
腰痛は有訴率が高く,社会的に重要度の高い臨床問題として認識されている.腰痛はスポーツ障害としても発生頻度が高く,時に選手生命にかかわる重大な障害となりうる.スポーツにおける腰部障害は,スポーツ種目や競技レベルによりそのリスクが異なり1),腰椎に加わる負荷の様式から,屈曲型腰痛や伸展型腰痛など,症状が誘発される肢位による分類が用いられる2-4).スポーツ選手の腰痛に対する対応の基本は,スポーツ動作中の腰椎の「安定性」の獲得と,隣接する胸椎・胸郭,骨盤・股関節の適切な「可動性」の確保が中心となる4-6).
スポーツによる腰部障害は,機能的障害に起因することが多いが,時に器質的障害を伴うことがある.器質的腰椎疾患は,発育期と成人期ではその障害の種類が異なり,発育期である小・中学生では,未成熟な脊椎に加わる負荷により,椎弓・椎弓根の疲労骨折(分離症)が生じやすく,骨が成熟した高校生以降は,椎間板への負荷による腰椎椎間板ヘルニアなどが増加する.また,成人期以降では長期間の反復ストレスと加齢による影響が加わるため,椎間関節の関節症性変化や脊椎症性変化が生じる.腰痛を自覚するスポーツ選手に対して,運動療法を行う場合には,前述した各年代別に好発する器質的腰椎疾患に留意する必要がある.
本稿では,スポーツにおける腰部障害に対する評価とリハビリテーションを中心に概説する.
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