連載 身体障害者診断書Q&A
ギラン・バレー症候群の診断書
上野 友之
1
1筑波大学附属病院リハビリテーション部
キーワード:
身体障害者手帳
,
ギラン・バレー症候群
,
機能予後
Keyword:
身体障害者手帳
,
ギラン・バレー症候群
,
機能予後
pp.154-155
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200512
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Q1 発症からどの程度経過をみてから診断すべきですか?
A1 ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome;GBS)は一般に急性発症後,極期を過ぎれば回復に向かう単相性の経過をとる.約6か月〜1年で自然に寛解することが多いことから,予後良好な疾患であると考えられる傾向にある.また,治療として血漿交換療法などの血液浄化療法や免疫グロブリン静注療法(intravenous immunoglobulin;IVIg)の有効性が証明され,発症早期にこれらの治療が行われる.極期の持続期間については2週間以内が71%,4週間以内が85%,平均15日(レンジ1〜90日)であったと報告されており1),以後回復に向かう.初期においては,治療の効果,リハビリテーション,自然経過による改善が見込まれる一方,発症6か月からは運動機能の回復が緩徐となり,発症1年後にはおおむね症状は安定化する.GBS症例の経過を検討したメタアナリシス(表)2)では,歩行に介助を要する頻度は発症6か月後に18%,1年後以降で16%,また発症1年後に筋力が完全回復する頻度は61%に過ぎず,14%に発症1年後以降にも重度運動機能障害が残存したとされる.このように予後良好な症例が多いとはいえ,長期的に日常生活に支障を来す例も少なからず存在する.また,予後不良に関連する因子として,① 高年齢(50歳以上),② C. jejuniの先行感染,③ 口咽頭筋麻痺の合併,④ 人工呼吸器が必要,⑤ 電気生理学的に軸索障害の所見ないし複合筋活動電位振幅の消失,⑥ 治療開始までに発症から2週間以上を経過が挙げられている.
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