書評
平山惠造,田川皓一 編「脳血管障害と神経心理学 第2版」
峰松 一夫
1
1国立循環器病研究センター
pp.178
発行日 2014年2月10日
Published Date 2014/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110412
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35年以上前,新米医の私は,受け持ち脳梗塞患者の症状に驚いた.左側にある物品,自身の左半身に全く無頓着で,本の左半分を読み飛ばし,日記帳の左半分は空白,描画は左側が欠け落ちていた.「左半側空間無視」である.「なぜ,こんな奇妙な症状が起こるの?」と,この病気の不思議さに強烈な印象を抱いた.指導医の勧めもあり,地元の脳卒中勉強会で,この患者のことを発表した.私にとって,初めての脳卒中(脳血管障害)患者,初めての神経心理学,そして初めての研究発表であった.
当時は,頭部CTやMRIが爆発的に普及し始め,脳血管障害の診断,病態や神経心理学に関する臨床研究が大変盛んであった.この雰囲気に触発された私も,研修終了後に国立循環器病センター(当時,以下国循と略す)内科脳血管部門でのレジデント研修に身を投じた.同じ時期に国循に着任された田川皓一先生から,神経心理学の面白さをずいぶんと教えていただいた.
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