Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに(3つの視点)
精神科リハビリテーションは,持続性の重い精神障害をもつ人々が,最小限の専門家の支援にて,地域で生活し学び働くために必要な,心理的・社会的な技能を習得させることを目標に行われる1)ものであり(i)「医学的・理論的な裏付け,理念・原則」,(ii)「活動とその場所」,(iii)「政策・制度」,という3つの視点から整理できる.
精神科リハビリテーション学は,統合失調症者に対する支援や治療の実践のなかから生まれた学問であり,(ii)「活動とその場所」から出発したと言っても過言ではない.活動とその検証のなかから少しずつ(i)理論が形をなし,(補助金や保険診療報酬による後押しも必要だが)さらに(ii)「活動とその場所」が点から線,そして面への広がりをみせ,(iii)時の法令や省令,政策に明記されていった補足1).
医学誌としての本稿では,もっぱら(i)医学的な事柄の解説が求められるのであろう.しかし,精神科リハビリテーションの何たるかは,その背景にあるこれまでの日本の(ii)精神科医療(活動)や(iii)政策を知らないと真のところが理解ができない.本稿では,身体科領域のリハビリテーション関係者に対しても理解が深まるよう,(ii)精神科医療,(iii)制度について述べ,各論につながる基本的な(i)エビデンスと理論について言及したい.なお(ii)「活動とその場所」の基盤には,世論や民度,国や地域の文化や歴史,そして人道的な人の取り扱われ方を望む,あるいは逆に異質で不可解な者を危険視して排除しようとする,人間の本性が横たわる.また(iii)政策の進行あるいは不作為は,公的には文章化されない財政的事情によるところが大きい.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.