Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
学問に国境はないと言われるが,近年のインターネット技術の進歩で種々の医学分野の知識ベース情報は飛び交っている.そういった状況の中で国際共同研究は容易になり,同一目的の研究者は国を超えて役割を分担し効率よく成果を出すことも盛んとなっている.リハビリテーション医学においても例外ではなく,たとえば障害者支援技術についてはニューヨーク大学バッファロー校のCenter for International Rehabilitation Research Information and Exchange(CIRRIE)が米国National Institute on Disability and Rehabilitation Research(NIDRR)の支援を受け,国際学術交流のための資金提供やリハビリテーション関係の文献データベース作りを始めている5).またInternational Society of Physical and Rehabilitation Medicine(ISPRM)でもInternational Resource Exchange Programとしてリハビリテーション医学の国際交流の場をWeb上に設けている10).本邦では1999年1月,日本リハビリテーション医学会のもと国際委員会が発足し,リハビリテーション医学の国際交流のための種々の活動を始めた.しかし,リハビリテーション医学と一言で言っても国によって状況はさまざまで,リハビリテーション医学会自体が存在しなかったり,存在してもリハビリテーション専門医制度がない場合もある.もちろん,リハビリテーション医学以前の問題に悩まされている発展途上国と交流してリハビリテーション医学の国際普及に努めることも重要な課題であり,国際委員会では徐々に交流国を増やしつつある.
リハビリテーションを共通の基盤で話し合うには各国の医療水準以外に,CIRRIEが指摘しているように文化・習慣の違いも考慮しなければならない.その点ではアジア地域を1つのまとまりとして交流することも重要であり,2001年2月には石神重信日本リハビリテーション医学会常任理事の指導のもと,New Millennium Asian Symposium on Rehabilitation Medicineが東京で開催され,アジア14か国(インドネシア,サウジアラビア,韓国,クウェート,マレーシア,中国・香港・マカオ,フィリピン,シンガポール,台湾,タイ,べトナム,パキスタン)から23名の講演者を迎え1),国際交流の基盤が作られた.また,リハビリテーション専門医制度の確立している韓国とは2002年より両国リハビリテーション医学会が隔年で交代して日韓合同リハビリテーションカンファレンスを行うことが決まっている.
一方,リハビリテーション医学が確立している先進諸国でも専門医制度の違いがあり,1999年11月にはワシントンで,米国,カナダ,英国・欧州,イスラエル,日本,韓国,オーストラリア・ニュージーランド,フィリピンの各国リハビリテーション医学指導者が集まり,専門医教育と認定制度の基準,国際協力について話し合われた.今後は専門医の国際基準や専門医のsubspecialtyに焦点があてられていくものと思われる4).
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.