Japanese
English
特集 廃用性筋萎縮を解明する
不動による筋ミトコンドリアの異常
Mitochondrial malfunction in skeletal muscles from hypokinesia.
阪井 康友
1
,
永田 博司
2
Yasutomo Sakai
1
,
Hiroshi Nagata
2
1茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科
2茨城県立医療大学医科学センター
1Department of Physical Therapy, Ibaraki Prefectural University of Health Sciences
2Center for Medical Sciences, Ibaraki Prefectural University of Health Sciences
キーワード:
不動
,
筋ミトコンドリア異常
,
ミトコンドリアDNA
Keyword:
不動
,
筋ミトコンドリア異常
,
ミトコンドリアDNA
pp.127-135
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109686
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はじめに
寝たきりやギプス固定などに伴う「不動」の状態を,われわれは臨床的立場から「廃用」と表現し,筋萎縮,骨密度低下などさまざまな身体の弊害を引き起こすことを知っている.しかし,これらの変化は身体活動や重力に対する細胞適応であること,そして物質の合成と分解が必ず伴っていることなどが,次々と解明されてきている.とくに「DNAの情報→mRNAへの変換→アミノ酸への翻訳→タンパク質」の流れをセントラルドグマと呼ぶが,この分子生物学的dynamic(動的)な変化が,不動というstatic(静的)な状態のなかにも変化を起こし続けていることは興味深い.なかでも,固有の遺伝子をもつミトコンドリアについては,塩基配列がわかってこの20年余りに盛んな解析が行われ始めている.しかし,注目を受けながらも,研究としては初期段階であり,未解明なことも多い.
本稿では,われわれが取り組んでいる廃用性萎縮筋に見られるミトコンドリアの異常を,形態的変化とミトコンドリアDNAに焦点をあてて紹介する.
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