Japanese
English
調査
手術不能な大腿骨頸部骨折に対する理学療法
Physical therapy for inoperable femoral neck fractures.
江郷 功起
1
,
磯野 美奈子
1
,
西辻 一成
1
Katsuki Egou
1
,
Minako Isono
1
,
Kazunari Nishitsuji
1
1大牟田市立総合病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation, Omuta City General Hospital
キーワード:
大腿骨頸部骨折
,
手術不能
,
理学療法
Keyword:
大腿骨頸部骨折
,
手術不能
,
理学療法
pp.859-863
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109582
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はじめに
65歳以上の高齢者人口が増加している現在,高齢者に多い大腿骨頸部骨折(以下,頸部骨折と略)は頻度・数ともに増加している1).頸部骨折は,高齢者ゆえに安静を続けると容易に寝たきりとなりやすく,厚生行政基礎調査報告によると,寝たきり老人の原因は第1位が脳卒中で,第2位が骨折となっている2).また林は,頸部骨折がその多くを占めており,骨折による寝たきりの割合は増加傾向にあると述べている3).
頸部骨折に対する治療方法は,寝たきり防止や早期離床・早期荷重の観点から手術的治療が一般的である.また,術後理学療法プログラムの検討4),術後成績5),歩行阻害因子の調査6)など多くの報告がされている.
しかし,高齢であるためにさまざまな既存疾患を合併していることも多く,骨折部に転位を認め,手術的治療が適応にもかかわらず,それを断念し,保存療法を選択しなければならない症例も臨床上みられる.そのような症例に対する報告は少ない7).
今回われわれは,全身状態や既存疾患等の合併症のために麻酔や手術が不可能と判断された症例を手術不能例と定義して,当院での手術可否の判断基準と理学療法方針をまず示し,手術不能となった既存疾患,骨癒合の有無,理学療法内容,移動能力の推移,転帰,入院期間について調査した.手術不能例の予後は寝たきりやベッド上生活になるとは限らず,理学療法の工夫により寝たきりが防止できる結果を得たため報告する.
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