書評
稲川利光 著―<生きいきケア選書>『老人ケアの元気ぐすり』
山口 研一郎
1
1奈良市あやめ池・やまぐちクリニック
pp.668
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109540
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私が著者・稲川君と初めて会ったのは,1984年8月の「第6回全国地域リハビリテーション研究会」(広島)でのことで,当時彼はPTであった.
脳外科医として臨床6年目を迎えていた私は,障害を持ちながら自宅へ戻る患者さんの生活上の困難を目の当たりにして,医者として何ができるのか……?と暗中模索していた.そんな折,入院中から家屋の改造や福祉サービスの情報を取り入れ,在宅の準備をすすめる稲川君らの発表は,私にとってカルチャーショックとも言えるものであった.本書では,「家屋改造だけではなく外に連れ出すことも考えないと,患者の機能は向上しない」という座長よりの指摘を受け,稲川君は「目からうろこ」の体験をした……と語っているが,彼らの先駆的な実践自体が私には「目からうろこ」であった.
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