Japanese
English
特集 半側空間無視
医療現場の取り組み―作業療法
Occupational Therapy for Unilateral Spatial Neglect.
安東 圭彦
1
,
斎藤 恭子
1
,
山根 伸吾
1
,
鎌倉 矩子
2
Yoshihiko Ando
1
,
Kyoko Saito
1
,
Shingo Yamane
1
,
Noriko Kamakura
2
1広島大学大学院医学系研究科保健学専攻院生
2広島大学医学部保健学科
1Graduate School of Health Sciences, Hiroshima University
2Institute of Health Sciences, Faculty of Medicine, Hiroshima University
キーワード:
半側空間無視
,
作業療法
,
治療的介入
Keyword:
半側空間無視
,
作業療法
,
治療的介入
pp.35-40
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109397
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はじめに
本稿の目的は,リハビリテーションや患者の自立生活を阻害する半側空間無視への治療的アプローチについて,過去10年間の文献とわれわれのかつてのものを紹介し,批評し,将来の展望を与えることにある.
半側空間無視は脳卒中などによる右半球損傷後によく起こる症状であり,半側空間無視症状とは,感覚障害や運動麻痺がないときでさえも,病巣の反対側の半側空間において与えられた刺激に対して反応・報告・定位を行わない症状のことを指している1).
そして,半側空間無視は能力障害に影響することが多くの文献で報告されている.山田ら2)は,無視群は非無視群と比較して自立歩行のレベルが低いことを報告し,Jeffereyら3)は,歩行時の転倒が非無視群と比較して無視群において有意に多かったことを示した.さらに,Katzら4)は脳血管損傷患者を対象に日常生活動作(以下,ADL)や生活関連動作(以下,IADL)における半側空間無視の影響を長期にわたって調査した結果,無視群は非無視群と比較してADLとIADLともに有意に劣っていたこと,また入院期間は有意に長く,退院時の自立度も有意に低かったことを示した.
リハビリテーションとして作業療法を実施するうえで,この症状に対して何らかのアプローチをしていくことは重要なことであり,患者のリハビリテーションゴールにも大きく影響してくるものである.
この半側空間無視という症状については他にも多くの報告があり,責任病巣や発生メカニズム,無視のタイプ分類など広く研究されているが,それは本稿での主旨からはずれるため割愛し,主に治療的介入について書き進めたい.
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