Japanese
English
特集 半側空間無視
医療現場の取り組み―理学療法
Clinical Therapeutic Approach in Patients with Hemineglect: Implications for Physical Therapy.
網本 和
1
,
杉本 諭
2
Kazu Amimoto
1
,
Satoshi Sugimoto
2
1東京都立保健科学大学理学療法学科
2医療法人曙光会訪問リハビリテーション室
1Tokyo Metropolitan University of Health Science
2Department of Visiting Rehabilitation, Shokoukai Hospital
キーワード:
半側空間無視治療
,
理学療法
,
在宅リハビリテーション
Keyword:
半側空間無視治療
,
理学療法
,
在宅リハビリテーション
pp.29-33
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109396
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はじめに
半側空間無視が右半球症状であるとした最初の報告であるBrainの論文では,その臨床症状として「(左側に曲がれないため)道に迷う」ことが記載されている5).このことは,今日.理学療法の立場から眺めてみると,大変重要な意味を持っている.なぜなら少なくとも道に迷うほどには歩行が可能であったという点である.半側空間無視例の歩行の自立度が低いという現在の臨床的認識(網本ら1))からは,かなり様相を異にしていると言わざるを得ない.これまでの筆者らの経験に照らしてみても,ほとんど運動麻痺のない半側空間無視症例は数例のみであった(もっとも,その数例はBrainの症例のように病院内で目的地へたどり着けなかった).
このような理由によって,半側空間無視への理学療法を考えるとき,治療対象の特性を十分に把握しなければならない.すなわち,運動麻痺を伴った半側空間無視例を対象とするのか,麻痺とは別個の半側空間無視という現象または徴候を対象とするのか,である.また,これまで半側空間無視に関する研究は神経心理学的領域でなされ,そのメカニズム,検査法,などに重点が置かれてきたゆえに,理学療法士が直接この症状にかかわろうとするものは多くはなかった.しかし,半側空間無視に対する「運動」の影響が注目される今日では,半側空間無視への対応は理学療法士に要請された課題である.
本稿では半側空間無視例の治療の概要に触れ,理学療法の実際的な取り組みについて報告する.
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