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はじめに
中央社会福祉審議会社会福祉基礎構造改革分科会がまとめた「社会福祉の基礎構造改革について(中間まとめ)」が1998年の6月に公表され,1998年の12月には「社会福祉基礎構造改革を進めるに当たって(追加意見)」が公表された.この中間まとめおよび追加意見を受けて,2000年5月に社会福祉事業法を中心とした法改正が行われた.
法改正の対象は,社会福祉事業法(社会福祉法に名称も変更),身体障害者福祉法,知的障害者福祉法,児童福祉法,民生委員法,社会福祉施設職員等退職手当共済法,生活保護法であり,公益質屋法は廃止となった.
高齢者福祉では,1997年に成立した介護保険法によって,福祉サービスの提供体の多様化(特に在宅サービス部門に民間営利法人の参入を認めた点),措置制度を廃止し契約型の福祉サービス提供を制度化した点で,すでに社会福祉基礎構造改革の趣旨に沿った形での改革を行った.障害者福祉では,1997年に「今後の障害者保健福祉施策のあり方について」(中間報告)が公表され,施設の多機能化,利用者選択の原則,民間事業者の参入などの点で,高齢者福祉と同様,障害者福祉分野もこれまでの福祉サービス供給の考え方に大幅な変更が提案された1).
これらの一連の改革を包括した形での社会福祉基礎構造改革議論と,これを受けた形での2000年5月になされた法改正の中で,社会福祉事業の今後のあり方に影響する重要な点は,次の3点であると考える.
①個人が自らサービスを選択し,提供者との契約により利用する制度を基本とすること(措置型福祉から契約型福祉への移行)
②社会福祉事業の性格に応じ,経営主体の範囲に関する規制の見直し(社会福祉法人設立の要件緩和,多様な事業主体の参入)
③利用者の選択による提供者間競争がサービスの質の向上につながるための基盤整備(情報公開と専門的な第三者によるサービスの評価)
以上の点を踏まえて,この論文では,これまでの社会福祉事業の問題点,社会福祉基礎構造改革による改善点と課題,社会福祉事業の活性化のための条件,の3点を明らかにすることを目的とした.
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