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特集 排尿・排便の障害学
5 神経変性疾患における排尿・排便管理
Bowel and Bladder Disorders in Neurodegenerative Diseases Including Parkinson's Disease
榊原 隆次
1
Ryuji Sakakibara
1
1脳神経内科津田沼
キーワード:
パーキンソン病
,
排泄障害
,
排便障害
,
排尿障害
Keyword:
パーキンソン病
,
排泄障害
,
排便障害
,
排尿障害
pp.689-700
発行日 2023年8月18日
Published Date 2023/8/18
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要旨 神経変性疾患は,自律神経不全としての排泄障害をきたすことが多い.パーキンソン病(PD)は神経変性疾患の代表的なものであり,非運動症状の中で,排泄障害は最も多いものの1つと思われる.このうち消化管運動障害(胃もたれ,胃食道逆流,便秘,イレウス)は70%と多く,運動障害にしばしば先行してみられることから,近年,迷走神経からの逆行性alpha-synuclein伝播説が考えられている.検査では胃排出能遅延,大腸通過時間延長,直腸固有収縮低下,腹圧低下,排便時の奇異性括約筋収縮(PSD)などがみられ,主にPDの腸管壁内神経叢の病変によるものと思われる.腹圧低下・PSDには中枢病変も関与していると思われる.排尿障害(過活動膀胱〔尿意切迫・頻尿〕)は70%にみられる.検査では排尿筋過活動がみられ,主にPDの前頭前野-黒質線条体ドパミンD1系の障害による,排尿反射の亢進が考えられる.このうち特に消化管障害は,患者のQOLを阻害し,レボドパ吸収を遅延させ,イレウス緊急入院をきたす場合もあるので,積極的な加療が望まれる.PD以外の神経変性疾患についても一部触れてみたい.
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