Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「カーラの結婚宣言」―知的障害者の自己決定宣言として謳いあげる
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.393
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109215
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私が障害者の自己決定権という言葉を耳にするようになったのはおそらく90年代に入ってからである.しかし,理念としては肯定できるが,とりわけ重度の知的障害者の場合は自己決定できる条件があるのかということや,教育の内容も子どもが自己決定(自己選択)できるとしたら,客観的に必要だと判断される指導もできなくなるのではないかといった疑念も出されていた.知的障害者の自己決定権をいち早く打ち出したスウェーデンの障害児教育を視察してきた人達が,向こうでは子どもがやりたいということをさせていたぞという報告もしていたのでそのことはまったくの絵空事というわけではなかった.
そしてわが日本のその後の推移をみるなら,国会では自己決定の尊重と本人の保護を理念とした成年後見制度改正が論議されるようになり,文部省も最近の学習指導要領にみられるごとく主体性重視にシフトし,前向きな教育現場では自己決定の具体的展開を図ろうとしている.
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