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特集 関節拘縮と治療
下肢の関節拘縮に対する理学療法―整形外科的下肢疾患の拘縮予防に対する管理
Physical Therapy for Contractures in Lower Extremities: Therapeutic Management toward Contracture in the Lower Extremity Injured.
冬木 寛義
1
,
松浦 清人
2
Hiroyoshi Fuyuki
1
,
Kiyoto Matsuura
2
1東京医科大学病院リハビリテーション科
2東京医科大学病院整形外科
1Department of Rehabilitation Medicine, Tokyo Medical University Hospital
2Department of Orthopaedics, Tokyo Medical University Hospital
キーワード:
関節拘縮
,
理学療法
,
整形外科疾患
,
下肢
Keyword:
関節拘縮
,
理学療法
,
整形外科疾患
,
下肢
pp.619-624
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109007
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はじめに
ひとたび関節拘縮が生じるとその除去に多くの時間を費やさねばならず,場合によっては手術的治療も余儀なくされ,患者の被る有形無形の不利益は甚大である.したがって,関節拘縮の発生は極力防ぐべきで,医療者は疾病状態の如何にかかわらず身体や関節の不動,長期の不良肢位が生体にどのような変化を招き,それが生活上どのような支障となるのかを常に念頭に置きつつ医療を実践していく必要がある.
また,骨折等でやむを得ず関節を固定せざるをえない状況においては,その固定が永続的な機能障害の原因とならないよう綿密な治療計画を立て,骨の治癒のみに意識をとらわれてはならない.骨癒合遷延を理由に漫然と数か月以上にもわたりギプス固定を行うものなら,ギプス除去後の関節拘縮は難治性となり,理学療法にも反応し難いものとなる.
治療計画のそれぞれのポイントにおいて常に患者の機能面を見通し,場合によっては骨の癒合よりも関節機能の温存を優先して考えていかなければならない(図1).このturning pointの目安は経験的には3か月である.確かに昨今の整形外科治療法の進歩はこの憂いを少なくしているが,予想外の経過を示すものも少なくなく常に念頭に置き考慮を重ねていくべき事柄である.
本稿では,この関節拘縮予防の観点からみた治療管理上関節拘縮に陥りやすい整形外科下肢疾患,外傷における最近の治療管理法,治療のコンセプトを概説し,関節拘縮に対する理学療法上の幾つかのポイントについて述べる.
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