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特集 スポーツ医学―最近の話題
スポーツ医学―内科領域の最近の話題
Life-style Related Diseases and Sports Medicine.
木下 訓光
1
,
山崎 元
1
Norimitsu Kinoshita
1
,
Hajime Yamazaki
1
1慶應義塾大学スポーツ医学研究センター
1Keio University, Sports Medicine Research Center
キーワード:
生活習慣病
,
一次予防
,
スポーツ医学
Keyword:
生活習慣病
,
一次予防
,
スポーツ医学
pp.7-13
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108871
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「生活習慣病」とは
平成8年12月,厚生省は「生活習慣病(lifestyle related diseases)」の概念を提案した1).わが国独自の呼称であった「成人病」が加齢を軸としたとらえ方であったのに対し,これは「生活習慣」に視点を移した疾患概念である.
成人病と呼ばれてきた疾患のなかでも,脳卒中,癌,心臓病は日本人の死因の上位を独占し,3大成人病と称されてきた.したがって,その早期発見・治療,救命率向上のための高度先進医療の追及には甚大な労力が費やされ,わが国は押しも押されぬ長寿大国となった.しかしその反面,単なる延命医療に陥りかねない医療への批判や,突出する国民医療費に関する抜き差しならぬ状況に直面していることも事実である.また,個人のQOLを尊重する社会的風潮・意識の高まりから,従来型の医療姿勢に対する反省も頻繁に聞かれるようになった.成人病の多くは,その発症や進行に生活習慣が深く係わる.しかし,国民の生活習慣修正に対する臨床努力はわが国ではほとんど実を結んでこなかった.一方,これが成就すれば疾患発症・再発の予防,医療費の節減,個人のQOL改善に結実することは,すでに統計的にも明白である.生活習慣病の概念は,このような状況を背景に,予防医学施政における「生活習慣修正」重視への方向を明示したものと言える.
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