Japanese
English
講座 作業療法の理論
4.作業療法における代償的アプローチ
Compensatory Approach in Occupational Therapy.
生田 宗博
1
,
山村 彰子
Munehiro Ikuta
1
,
Akiko Yamamura
1金沢大学医学部保健学科
1Department of Occupational Therapy, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kanazawa University
キーワード:
動作習得
,
機器の利用
,
環境改善
Keyword:
動作習得
,
機器の利用
,
環境改善
pp.335-342
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108637
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代償的アプローチとは
Pedretti1)は「身体障害の作業療法」のなかで,作業療法の理論的枠組みとして,生体力学的アプローチ,感覚運動アプローチ,リハビリテーションアプローチの3つについて述べている.今回のテーマである「代償的アプローチ」は,このなかの「リハビリテーションアプローチ」にあたると考えられる.リハビリテーションアプローチでは,身体的制約の迂回や代償を患者が学習するのを援助することを目標とし,障害よりもむしろ残存能力に焦点を合わせて治療計画を立てる.
「代償」とは,広辞苑によれば,①本人に代わって弁償すること,②他人にかけた損害のつぐないとしてその代価を出すこと,となっている.これから思い浮かべられる「代償」という言葉のイメージは,どちらかというと消極的である.しかし,作業療法における「代償的アプローチ」は単に代替するものではなく,主体が積極的に用いるための技術であると考える.代償という言葉を単に「代わりのもの」,「障害の償い」と捉えるのでなく,「新しい能力の拡充」という意味を含んで考える.すなわち「代償的アプローチ」とは,障害という新しく起こった状況に対し,対象者が新しく適応し,能力を発揮するための手段であり,主に能力障害レベル,社会的不利レベルでの新しい能力の拡充法であると捉えていきたい.
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