Japanese
English
研究と報告
Wernicke失語の回復と錯語・錯読・錯書の出現について
Is Type or Paraphasia, Paralexia and Paragraphia related to Prognosis of Wernicke's Aphasia?
安崎 文子
1
,
出江 紳一
2
,
古場 群巳
3
Fumiko Anzaki
1
,
Shin-ichi Izumi
2
,
Tomomi Koba
3
1社会保険中央総合病院リハビリテーション部
2東海大学医学部リハビリテーション学教室
3社会保険中央総合病院脳外科
1Department of Rehabilitation Medicine, Social Insurance Chuo General Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Tokai University School of Medicine
3Department of Neurosurgery, Social Insurance Chuo General Hospital
キーワード:
失語の回復
,
錯語
,
錯読
,
錯書
,
予後
Keyword:
失語の回復
,
錯語
,
錯読
,
錯書
,
予後
pp.1279-1286
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108527
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はじめに
Wernicke失語は,著しい聴覚理解障害,および流暢で錯語の多い発話を特徴とする症候群である.その予後については,聴覚的理解の回復には限界があるといわれている1)ものの,ばらつきが大きく,未だ不明の点が多い.Kirshner2)は聴覚的理解と視覚的理解のいずれの障害が優位かによって,Kertesz3),上田ら4)は,発症時の「新造語(Jargon)」の量によって,予後が左右されることを報告している.また,前川ら5)は新造語の発話分析から回復良好例(症例G)で新造語の減少とともに,意味性錯語が多くなったと報告している.
しかしながら,錯語,錯読,錯書の全てにわたって種類と出現頻度を記録し,その後の帰結との関係を報告した文献は見当たらない.今回,Wernicke失語で発症し,障害の程度や回復に差のみられた2症例を対象として,その錯語,錯読,錯書の相違を詳細に検討し,帰結との関連について考察したので報告する.
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