Japanese
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講座 生涯人間発達
2.知能の生涯発達
Life-span Development of Intelligence.
並木 博
1
Hiroshi Namiki
1
1早稲田大学教育学部教育心理学教室
1Department of Educational Psychology, School of Education, Waseda University
キーワード:
生涯発達心理学
,
流動性知能
,
結晶性知能
,
作動記憶
,
老人性痴呆症
Keyword:
生涯発達心理学
,
流動性知能
,
結晶性知能
,
作動記憶
,
老人性痴呆症
pp.739-744
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108170
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はじめに
心理学が知能の研究に着手して既に百年有余の歳月が流れているが,知能を測ろうとする試みは心理測定学の理論と技術を生み,その成果は精神遅滞児の診断と指導,学校教育における教育評価,学習指導,進路指導,および職業選択,企業や軍の組織における人事管理等の実践的場面に適用されて,実績を上げてきた.また,知能の研究は,高齢化社会の到来とともに,生涯発達心理学という新しい枠組のなかで,その対象領域を成人期,実年期,さらに老年期へと拡げてきた.
本稿では,伝統的な知能研究のなかで,特に生涯発達にいち早く着目した流動性・結晶性知能理論,加齢に伴う認知機能の変化を作動記憶容量の減少によって説明する新しい認知心理学的理論,当該領域の成果を総括する7つの命題等について述べ,最後にこれに関連して筆者等の開発した老人性痴呆症の神経心理学的診断検査を紹介したいと思う.
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