学会報告
第35回近畿リハビリテーション医懇話会―1995年1月21日(土),於:大阪薬業年金会館
岩﨑 洋明
1
1奈良県心身障害者リハビリテーションセンター
pp.286-290
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108072
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一般演題は10題であったが,阪神・淡路大震災のため2題が欠演となった.但し,うち1題は後日抄録を頂くことができた.まず興味ある経過を示した脊髄損傷の症例が2題あり,ついで変形性股関節例では骨塩量に特徴がみられるとし,糖尿病性壊疽の切断高位の判定にサーモグラフィーが有用とする新しい治験の報告があった.さらに嚥下障害例に喉頭挙上法と鼻孔閉塞法を試みて成功し,またコミュニケーション障害例において,ケースカンファレンスの場に家族を参加させたことが,スムーズな退院と機能回復を成功させたという貴重な経験が報告された.最後にQOL評価の問題が出された.機能訓練事業の効果をみたところ,外出の機会が少ない高齢者と自立度が少ない者においてQOL向上が大きかったという報告であった.またスモンとパーキンソン病におけるQOLをVAS-HとGDSとの間の相関性でみたところ,スモンにおいては相関が認められず,パーキンソン病においては主観的なQOLはうつスケールと相関が認められたとの報告であった.
講演は「低移動能力患者の機能維持」の演題で行われた.講師には豊富な資料より寝たきりにしないためには外出の機会をもつことが大切であるという持論があり,今回は外出させるための工夫や方法について述べられた.自験例を示しながら,外出の目的をまず見つけてあげることが大切ですという説明には説得力があった.
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