Japanese
English
研究と報告
正中神経および尺骨神経の逆行法による感覚神経伝導検査―環指法に関する一考察
Median and Ulnar Antidromic Sensory Nerve Conduction Study: Ring Finger Test.
水尻 強志
1,2
,
長谷川 修
3
,
奈良 優貴子
4
Tsuyoshi Mizushiri
1,2
,
Osamu Hasegawa
3
,
Yukiko Nara
4
1横浜市立大学医学部リハビリテーション科
2坂総合病院リハビリテーション科
3横浜市立大学医学部神経内科学教室
4横浜市立大学附属病院臨床検査部
1Department of Rehabilitation Medicine, Yokohama City University School of Medicine
3Department of Neurology, Yokohama City University School of Medicine
4Division of Clinical Laboratory, Yokohama City University School of Medicine
キーワード:
手根管症候群
,
糖尿病
,
感覚神経伝導検査
,
環指法
Keyword:
手根管症候群
,
糖尿病
,
感覚神経伝導検査
,
環指法
pp.47-50
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108022
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はじめに
手根管症候群は正中神経が手根管部横手根靱帯下で絞扼される病態を指し,夜間に増強する支配指のしびれと疼痛および母指球の筋萎縮を主症状とする1).電気生理学的には,尺骨神経に比べて正中神経での運動神経ないし感覚神経遠位潜時が延長することが特徴とされる1-4).環指はその橈側が正中神経に,尺側が尺骨神経により支配されているため1指での伝導検査から2神経の状態を知ることができる.これを利用して正中神経と尺骨神経刺激により環指から感覚神経活動電位を記録し両者の潜時差を見る環指法(ring finger test)が考案され,本法は手根管症候群の検出に高い感受性を示すことが報告されている2,5-10).
一方,糖尿病患者で正中神経手関節部で伝導遅延を生じやすいことは良く知られている.これは糖尿病により末梢神経が圧迫性障害に対して脆くなっており,このために絞扼性神経障害が発生しやすくなっているためと考えられている1,11-13).実際に,運動神経伝導検査で正中神経遠位潜時が尺骨神経遠位潜時の1.5倍以上であった例が糖尿病患者では実に11%に及んだ12).
本検討では,環指を含む各指での感覚神経伝導検査を行い,正中神経・尺骨神経の代表として環指を用いることの妥当性,糖尿病患者で正中神経手関節部での伝導遅延を生じる頻度,および環指の正中神経・尺骨神経支配率について調査を行ったので報告する.
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