足部の選択―いわゆるエネルギー蓄積型足部の性能比較

Biomechanical Comparison of the So-called Energy Storing Prosthetic Feet.

はじめに

　下腿義足足部の役割は，表1のようにまとめることができる．従来は単軸，多軸，SACH（SolidAnkle Cushion Heel）足のいずれかから下腿義足足部が選択されていた．エネルギー蓄積型足部（Energy Storing Prosthetic Feet，以下ESPF）は，優れた特長を有するが，一部の製品は高価なことが難点であった．しかし身体障害者福祉法と児童福祉法では，高価なESPFも順次補装具の給付対象に指定する傾向にある．したがって今後，下腿義足を処方する場合にESPFが選択される機会は増すと思われる．しかしながらESPFに一定の規格はない．さまざまなメーカーからESPFと銘打って市場に出されている足部があるが，それぞれの性能が明確に示される機会は少ない．

　本文では，ESPFの概略を解説し，ついで同一下腿切断被験者に種々の足部を装着させて歩行分析を行った結果を示す．さらにESPFを使用している下腿切断者の感想を参考として，ESPFの性能を考察する．