巻頭言
数字の向こうに人々が見える
鎌倉 矩子
1
1広島大学医学部保健学科
pp.937
発行日 1995年11月10日
Published Date 1995/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107973
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最近,都内のある地区の脳卒中作業療法の実態を調べる機会があった.100余名の仲間とともに総勢467人の患者の2年間を追跡するという壮大な(と当事者たちは思っている)企画である.そしていま,3か月経過時点までの報告書を書きあげたばかりのところである.立ち現れた膨大なデータ群の中から,少しずついろいろな状況が見えてきた.
最初の疑問.どうしてこんなに男性の患者が多いのか.作業療法のお客さんになった男性脳卒中患者の数は,なんと女性の2倍なのである.「女性はいいんですよ.たとえ障害があっても,家の中で何か役割が見つかるから.」とベテランの某女史は言う.男性はそうはいかないので家族のほうが持て余す.そしてリハビリテーション機関へ送られる.というのが彼女の推理である.
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