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はじめに
関節リウマチは全身性,かつ進行性の非特異的慢性炎症性疾患で,主に関節を侵し,その原因は不明であると定義されている.その経過は“Once rheumatoid arthritis,Always rheumatoid arthritis”といわれているように長期にわたり,疼痛を伴いながら,程度に差はあるが身体障害者になる.
発症は30~40歳代の働き盛りの女性に圧倒的に多く,結婚,性生活,妊娠,出産に多大な影響を及ぼしている.わが国では約50万人ものRA患者がいるにもかかわらず,性生活に関して患者もわれわれ医療従事者も意識的に避けてしまうためか,この問題に対する研究は極端に少ない.Ehrlichは“Sexuality is normal lifelong phenomenon.It influences behavior,defines gender and roles,and in both physical and psychological sense,becomes part of life style in all ages”と述べている1).性生活はRA患者のみならずわれわれにとって無視できない問題である.
円満な性生活はRA活動性を低下させ,関節の疼痛ならびに精神的にはうつ状態を改善させ,一時的ではあるがストレスからも解放する.しかし,性生活がギクシャクすると,夫婦間の絆が切れ家庭は不和になり,時に別居,離婚に至ることがある2).この状態は夫婦または家族の不幸ばかりではなく,RA自体をも悪化させる.
今回,われわれはRA患者の性生活に関するアンケート調査の結果を中心に,性生活の実態対策について文献的考察を加え解説し,あわせて若年性関節リウマチ(JRA)患者の結婚の機会,出産について報告したい.
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