保健行政スコープ
老人医療
牛尾 光宏
1
1厚生省大臣官房老人保健福祉部老人保健課
pp.576-577
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207761
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わが国が,他の先進諸国に類を見ないほどの速度で高齢化社会になりつつあることはよく指摘されるところである.昭和初期には50歳にも満たなかった平均寿命が昭和61年には男性では75歳,女性では80歳を超えるに至ったこと自体は喜ぶべきであり,その背景にある公衆衛生水準の向上,医療技術の進歩等による人類の勝利と言ってもよいであろう.しかしながら,一方で社会の高齢化に伴う種々の問題が提起されている.その中においてとりわけ,今後増大する高齢者にいかにして良質な医療を,どのような体系で提供していくのかという課題が今日ほど求められている時はないと考えられる.老人医療に限らず,本質的に医療は患者と医師の信頼関係に立脚した個々の現場での総合的技術によるところが大きいわけであるが,ここでは老人医療に関する臨床的・技術的問題より,老人医療をめぐる環境・制度を中心に検討していきたい.
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