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はじめに
LASERはLight Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字を組み合わせた合成語で,「放射の誘導放出による光の増幅」という意味である.レーザー光も光の一種であり,自然放出による自然光のもつ光の性質,すなわち直進,反射,回折および屈折する性質を持っているが,次のようなレーザー光特有の性質を有している.
①単色性:光子の波長位相の同じものを取り出すので,単色光である.②可干渉性:誘導放出により位相の揃った光が増幅されるので,可干渉性(コヒーレント)な光が得られる.③集光性・良指向性:レーザーはすべての光が平行で同じ方向を向いており,拡散することがないので,光軸方向の光だけが増幅され,広がりの小さな光束を得ることができる.④高輝度:輝度とは光源の単位面積,単位立体角に対する放出エネルギーである.指向性が良い光で,立体角が小さく,輝度が高い.
レーザーは1960年,Maimanがルビーレーザーの発振に成功し,それ以後各方面で用いられるようになったが,医療への応用は,1961年眼科領域でのルビーレーザーによる網膜剥離に対する光凝固治療が最初である.医療用レーザーには,熱を利用するものと,光作用(非熱作用)を応用するものとに大別でき,前者は熱による細胞(生体)破壊に用いるもので,高反応レベルレーザー治療(high-reactive level laser treatment;HLLT)とされ,後者は光作用による細胞(生体)活性化作用に応用する低反応レベルレーザー治療(low-reactive level laser therapy;LLLT)である.
最近は各種のレーザーが開発され,①遠赤外線領域の気体レーザー(CO2ガスレーザー),②近赤外線領域の個体レーザー(Nd-YAGレーザー),③近赤外線領域の半導体レーザー(Ga-AI-Asレーザー),④可視光線領域の個体レーザー(ルビーレーザー),⑤可視光線領域の気体レーザー(He-Neレーザー)などがある.
低反応レベルレーザーによる治療は1971年,MesterがHe-NeレーザーやArレーザーを照射し,創傷治癒が促進し,難治性潰瘍の改善や治癒が認められたとした報告が嚆矢である.また,整形外科的疾患に対し除痛を目的とした報告は,1975年PlogらがHe-Neレーザーを用いて治療を行い.頭痛および頸肩腕症候群患者など137例のうち72.2%に有効であったと報告している.
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