Japanese
English
研究と報告
新合繊マットレスの物理的特性と褥瘡予防効果
Preventive Effect of Mattress using New Synthetic Fiber on Pressure Sore.
三田 勝己
1
,
赤滝 久美
1
,
伊藤 晋彦
1
,
篠田 剛
2
,
石田 義人
3
,
吉田 誠
4
Katsumi Mita
1
,
Kumi Akataki
1
,
Kunihiko Itoh
1
,
Takeshi Shinoda
2
,
Yoshihito Ishida
3
,
Makoto Yoshida
4
1愛知県心身障害者コロニー
2名古屋大学工学部
3石田整形外科
4帝人・繊維研究所
1Aichi Prefectural Colony
2Faculty of Technology, Nagoya University
3Ishida Orthopaedic Clinic
4Teijin Fiber & Textile Research Laboratory
キーワード:
褥瘡
,
新合繊
Keyword:
褥瘡
,
新合繊
pp.855-860
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107711
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はじめに
障害者なかでも重症心身障害児と呼ばれ,重度の肢体不自由と精神薄弱を併せもつ人達は約3割が寝たきりである3).また,高齢者もごく軽い病気,怪我,骨折などがきっかけで安静をとり過ぎた結果,寝たきりとなった人達が多い.長期にわたる臥床生活は体力を低下させ,健康を損わせ,時には生命をも脅かす.長期臥床が引き起こす弊害は全身諸器官に及ぶ.例えば,褥瘡,骨粗鬆,関節拘縮,筋力低下,起立不耐性など問題が多い5).
本研究では,長期臥床に起因する多くの弊害のなかで褥瘡の問題に焦点をあてる.褥瘡は短時間に発生し,その治癒にきわめて長期間を要する難治性の疾患である.その原因は,①圧迫,温湿度,摩擦・剪断力などの物理的要因,②皮膚の老化や栄養状態などの身体的要因,③感染などの外的要因が複雑に絡みあう2,14,15).褥瘡に対して重要なことは予防であり,特に組織への血液供給を妨げる圧迫を除去することが肝要である1,4,6,8,16).
本研究では,新合繊(後述)を用いたマットレスを開発し,圧・変形および温湿度などの物理的特性から褥瘡に対する予防効果を考える.なお,褥瘡の物理的原因のうち摩擦・剪断力はマットレスのシーツ(側地)や着衣の素材と密接に関係し,マットレスとの直接的な関連は低いので割愛した8).
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