Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
エイズ患者差別=障害者差別を初めて描いたハリウッド映画「フィラデルフィア」
二木 立
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.795-796
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107696
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エイズを題材にした映画は少なくない.洋画では「ムーンリット・ナイト」,「ロングタイム・コンパニオン」等,邦画でも「私を抱いてそしてキスして」等がある.しかし,これらは,いずれも「マイナー映画」であり,観客はごく限られていた.それに対して,「フィラデルフィア」(ジョナサン・デミ監督)は,ハリウッドのメジャー系映画会社が正面からこの問題に取り組んだ初めての映画だ.エイズ差別と戦う弁護士アンドリュー・ベケット役を熱演したトム・ハンクスが,今年のアカデミー主演男優賞を受賞したことは記憶に新しい.
ベケットは,フィラデルフィア屈指の名門法律事務所に勤める若手敏腕弁護士.その輝かしい実績を認められて「上級弁護士」に抜擢され,事務所の最重要訴訟をまかされる.しかし,その任命の折に,経営者の1人は,ベケットの額にある小さなカポジ肉腫に気付く.実はベケットは,芸術家の男と同居する同性愛者であり,数年前にエイズを発症し,その治療を続けているが,この事実を事務所には隠し通していたのだ.ベケットは病気の進行と戦いながらモーレツに働き,訴訟の準備書面を完成するが,それが突然,コンピュータ内の電子文書ともども,一時的に,「粉失」する.この直後,事務所は,ベケットを弁護士として「無能力」を理由にして,一方的に解雇する.
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