学会報告
第39回九州リハビリテーション医学懇話会―1992年10月18日(日),於:宮崎
田島 直也
1
1宮崎医科大学整形外科
pp.533-537
発行日 1993年6月10日
Published Date 1993/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107389
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1.Rhabdomyolysis(横紋筋融解症)と中心型頸髄損傷を合併した1例
産業医科大学リハビリテーション医学教室
犬山 久美子・緒方 甫
筒井 由香・蜂須賀 研二
北九州市立八幡病院
辻野 彰・柴山 弘司
Rhabdomyolysis(横紋筋融解症)は種々の原因により骨格筋の急激な融解,壊死を生じる病態であり,薬物の中ではアルコールが原因となることが多く,また筋脱力が残存することは稀である.今回,われわれは,脱力が持続した横紋筋融解症に中心型頸髄損傷が合併していたことが判明した症例を経験したので,発症機序とリハビリテーション上の注意点などとともに報告する.症例は49歳男性で,1992年5月泥酔後,激しい筋痛が出現し,近医にて四肢麻痺とCK高値により横紋筋融解症と診断された.機能障害が持続するので7月当科に入院した.入院時,四肢近位筋の筋力低下と手内筋の筋萎縮,上肢特に指のROM制限,四肢深部腱反射亢進と病的反射を認め,MRI,筋電図所見より,中心型頸髄損傷の合併と診断した,本症例のように筋力低下が持続する横紋筋融解症では,筋障害の残存や廃用性筋萎縮の合併ばかりではなく,脊髄不全損傷などがマスクされている可能性を考慮する必要がある.
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