Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
アメリカでのハイテク在宅ケアの背後にある自立精神の強さが透けて見える「愛の選択」
二木 立
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.719
発行日 1992年8月10日
Published Date 1992/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107144
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たわいのない娯楽映画の中に,その国に固有の医療・福祉観が透けて見えることがある.当代の美女ジュリア・ロバーツ主演の純愛映画「愛の選択(原題:The choice of love)」を観ると,わが国ではほとんど普及していない癌患者の「ハイテク在宅ケア」の背景にアメリカの患者に脈うつ自立(自律)精神があることが分かる.
舞台は,サンフランシスコ,アメリカでもっとも美しいと言われる街.彼女が演じるヒラリー・オニールは,美しいが,学歴も経済力もないうえに,同棲していたボーイフレンドにも捨てられ,失意の日を送っている.そんな彼女が,新聞広告で見つけた病人の家庭看護人に応募する.その病人は,大富豪の一人息子で,美青年のビクター(キャンベル・スコット).彼は白血病で10年余も闘病生活を続ける傍ら,美術史の博士論文を執筆している.彼に見初められたヒラリーは,豪邸内の一室を与えられ,泊り込みで看護にあたることになる.ちなみに,週給は,彼女にとって破格の400ドル(1ドル130円として,5万2,000円).ビクターは普通の日は健康人とさほど変わらないが,病院で点滴化学療法を受けた夜は必ず,激痛に襲われ,嘔吐を繰り返す.抗癌剤の副作用のため,頭髪もすっかり抜け落ちる.最初はそれに恐れおののいたヒラリーだが,けなげにも,白血病の専門書を読みあさり,ビクターのために独自の「食事療法」を工夫する.
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