明日の検査技師に望む
ハイテクのわなにはまるなかれ
伏見 尚子
1
1住友病院内科
pp.1032
発行日 1995年12月1日
Published Date 1995/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902563
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最近の医療機器の進歩は著しい.特に測定機器には目をみはるものがある.測定感度がグラムからミリグラムのレベルどまりがナノグラム,ピコグラムとなり,アイソトープやPCRで,増幅を重ねての測定となる.目に見えないものの極微量の測定の測定値の数字がデジタルで出てくるのは快感でもあり恐怖でもある.とにかくデータは出てくる.それを客観的に評価できることが,ますます大事となってくる.
ハイテク機器は年々進歩し,21世紀にもさまざまな姿で現れてくる.操作が複雑であれ,ワンタッチであれ,機器の測定理論が難解になれば,たとえ完全に理解していたとしても,ともすれば機器に気遅れして,機器のいいなりになり機械の出したデータそのまま何も考えずにうのみになりやすい.ぜひそのようなことないように願いたい.すべての操作過程にももちろん理論にも飲まれず,飲んでいてほしい.測定過程のどこかで微妙な回路の異常でも,そのまま機器は澄まして誤ったデータを吐き出してくる.それが見抜かれなければ,依頼者は間違った結論を出してしまう.ハイテクの仕掛けてくるわなにはまることなかれ.
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