Japanese
English
研究と報告
被殻出血患者82例における入院時情報およびADLの時間的経過と予後
Effect of Clinical Data and Chronological Change of Activity of Daily Living upon Outcome of Patients with Putaminal Hemorrhage.
矢倉 久嗣
1
,
安井 敏裕
1
,
小宮山 雅樹
1
,
夫 由彦
1
Hisatsugu Yagura
1
,
Toshihiro Yasui
1
,
Masaki Komiyama
1
,
Yoshihiko Fu
1
1馬場記念病院脳神経外科
1Baba Memorial Hospital
キーワード:
被殼出血
,
入院時情報
,
ADL
,
予後
Keyword:
被殼出血
,
入院時情報
,
ADL
,
予後
pp.601-607
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107114
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はじめに
脳卒中患者の予後に対し,いかなる要因がどの程度影響を与えるかを検索することは,本疾患の治療上重要な課題である.これまで,発症時あるいは入院時の神経学的所見,年齢,CT所見などと予後との関係,日常生活動作(ADL)と予後との関係については数多くの報告がなされている.Kanayaら1)は,神経学的重症度が,神野ら2)は,CT所見として認められる内包,中脳あるいは放線冠の損傷の程度が,さらに亀山3,4)は内包後脚の損傷がそれぞれ予後に大きく関与すると報告している.また藤津ら5)は血腫量と出血部位により被殻出血のCT分類を行い,それに対して手術療法と保存的療法との比較を行い,予後との関係について検討した,さらに高血圧性脳内出血全般についてではあるが,Tuhrim6),Fieschi7),Dollberg8)らは入院時の意識状態,血腫量が予後を決定する重要な要因であるとしている.一方,ADLの面からの検討では,二木ら9)はADLの各項目についての自立患者の比率や,ADLの項目間の相互関係や,さらに身の回りの動作の難易度について報告している.従来の研究では被殼出血患者について,急性期治療を行い,さらに早期リハビリテーションを行った結果のADLの段階的な評価についての検討はほとんど行われていない.したがって,本研究では,被殼出血患者に限り年齢,CT所見などの入院時情報と,歩行,食事,更衣などのADL項目の経時的評価との2面から,予後に影響を与えると思われる要因を検索した.
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