減圧症

Decompression Sickness.

はじめに

　高気圧環境下の労働として，トンネル工事などに応用される潜函作業，海底作業としてのサルベージ，潜水漁業などの潜水作業がある．このような高気圧環境下の作業に伴って生じる障害を総称して高気圧障害というが，そのうち，環境圧が低下（減圧）する際に生じる障害を減圧症という．減圧症の発生に関する全国的な統計はなく，実態は不明であるが，梨本は潜函工事での減圧症は著しく減少している一方，潜水作業では多くの減圧症が発生していると報告している¹⁾．また，職業とは別にレジャーとしてのダイビング人口は年々増加しており，現在40万～50万のレジャーダイバーが存在していると考えられ，これらのレジャーダイバーによる減圧症も多発している．

　本稿では減圧症のうち，リハビリテーション上，特に問題となる脊髄型減圧症を中心に述べる．