総説
高気圧酸素治療の現状と新たな展開
合志 清隆
1
1西日本病院 脳神経外科
キーワード:
機器と資材用品
,
減圧症
,
高圧酸素療法
,
腫瘍
,
神経再生
,
創傷治癒
,
皮膚潰瘍
,
放射線障害
,
放射線療法
,
救急治療
,
クリティカルケア
,
集学的治療
,
再生医学
,
診療報酬
,
処置の禁忌
Keyword:
Critical Care
,
Decompression Sickness
,
Equipment and Supplies
,
Wound Healing
,
Hyperbaric Oxygenation
,
Radiation Injuries
,
Combined Modality Therapy
,
Contraindications, Procedure
,
Emergency Treatment
,
Nerve Regeneration
,
Neoplasms
,
Skin Ulcer
,
Radiotherapy
,
Regenerative Medicine
pp.543-547
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00697.2020248998
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近年の総説的な論文報告を中心として、高気圧酸素治療(HBO)の現状と今後の可能性について述べた。急性期の挫滅創やリスクのある皮膚移植後にHBOが用いられるが、この治療は国際的にも慢性期の難治性潰瘍に頻繁に活用されている。Cochrane Libraryでは、放射線障害へのHBOの効果について検討した14のRCTの結果から、骨壊死を伴う皮膚粘膜修復の促進作用、さらに骨壊死への手術後で創離解の抑制効果が示されている。救急・集中治療の領域では、減圧障害、一酸化炭素中毒、重症軟部組織感染症などに対してHBOが重要視されてきたが、近年のRCTを主体とした臨床報告の結果から、以上の疾患にHBOが用いられる機会は少なくなっている。HBOは、基本的には侵襲が低いが、気胸、上気道感染症、肺気腫、胸部X線検査で確認できる無症候性病変、高熱、妊娠や閉所恐怖症が禁忌とされる。再生医療の領域、なかでも神経再生としてのHBOの潜在的な役割が示唆されている。
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