巻頭言
リハビリテーション医のしごと
水落 和也
1
1横浜市立市民病院リハビリテーション科
pp.97
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106999
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リハビリテーション科入局以来フォローアップしているYちゃんが,めでたく高校に入学したのは昨年の春だった.まるで自分のことのように喜んだものである.ところが,秋になってYちゃんから手紙が届いた.いくら頑張って勉強しても授業がわからない,試験が全くできないというのである.私にはそれまでの長く,つらい道のりが思い出された.
Yちゃんがモヤモヤ病による脳梗塞を発病したのは小学校4年生の時であった.幸い運動障害はほとんどなかったが,軽い失語症とゲルストマン症候群が残ってしまい,活発で何事にも積極的で,クラスのリーダー的存在だった女の子の生活は一変してしまった.復学したものの友人とのコミュニケーションはうまく行かず,授業の内容は全くわからず,成績は一気に低下,クラスの中で本人は孤立し,教師はなんとか成績を上げようと個別指導を行うが,これが却ってストレスとなり登校拒否へとつながった.やり場のない不満,怒りを母親にぶつけるので母親との衝突も生じ,家庭の雰囲気まで悪くなった.
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