Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
老人介護を主題にしたわが国初のアニメ―老人Z
二木 立
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.74
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106993
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老人「問題」を主題にした映画は少ない.ましてや,老人「介護」を主題にした映画は,ドキュメンタリー映画を除けば,ほとんどない.この「老人Z」は,老人介護を主題にした,わが国初,おそらくは世界初のアニメーション映画である.しかも,決してマイナーな作品ではなく,原作・脚本は英訳もされた劇画「AKIRA」の作者で,若者の間で爆発的人気を得ている大友克洋氏.となれば,これだけで一見の価値がある.
舞台は,政府が「高度高齢化社会」への突入を宣言し,「みんなで築く明るい長寿社会計画」(ゴールドプラン?)を掲げて10年が経過したという近未来.しかし,寝たきり老人の増加に,人手も予算も不足し,政府の計画は絵に書いたモチという状況.そんな中で登場するのが,全自動看護「ベット」Z号.これは自己学習と増殖機能を持ったコンピュータを搭載し,要介護老人を「寝かせきり」にした状態で,食事,入浴,排泄処理を自動的に行うだけでなく,テレビ,ラジオ,電話などを完備したロボットである.厚生省は,某商事会社が開発したこのZ号で,事態を一気に打開しようとする.
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