書評
Logan CM, Rice MK 編著・大石 実 監修―ローガン医学略語辞典
後藤 文男
1
1慶応義塾大学医学部神経内科
pp.169
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106737
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近,社会全般に略語が氾濫している.医学の領域もその例外ではない.略語の使用は専門家同士の間では簡明で非常に便利である反面,ちょっと専門がずれると全く分からないことが多い.それどころか,とんでもない誤解を生むことも稀ではない.例えば,MSは循環器科ではmitral stenosisの略であり,神経内科ではmultiple sclerosisの意味である.もっと領域を変えれば,mental status,mediastinal shift,mongolian spot,mass spectrometryなどの意味に用いられることもある.このように,略語に遭遇して意味の明らかでないとき,一般の医学用語辞典を参照しても必ずしも解決しない.まして教科書を調べてみても略語が使われているとは限らず,該当する用語を捜し当てるのは至難の技である.このようなとき,最も役立つのは医学略語辞典である.
今回,大石博士の監修で医学書院から出版された「ローガン医学略語辞典」はその代表的なものである.本書の原本であるLogan's Medical and Scientific Abbreviationは,1987年にアメリカのJB Lippincott社より出版されて以来,医学とその関連分野も含めたスタンダードな医学略語大辞典として広く世界中で使用されている.原本では英語の略語から英語の医学用語を引くようになっているが,この日本語版は英語の略語から英語と日本語の両方の医学用語を引けるようになっているので大変便利である.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.