Japanese
English
特集 子供のリハビリテーション
Ⅲ.子供のリハビリテーション(脳性麻痺を除く)
小児の熱傷
Rehabilitation of the Burned Child.
千野 直一
1
Naoichi Chino
1
1慶応大学医学部リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine.
キーワード:
熱傷
,
瘢痕拘縮
,
圧迫帯
,
心理的サポート
Keyword:
熱傷
,
瘢痕拘縮
,
圧迫帯
,
心理的サポート
pp.837-840
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106626
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はじめに
熱傷は皮膚の物理的損傷から二次的に筋骨格系の機能障害をもたらすものでリハビリテーション(以下リハビリと略)医療であつかう特異的な疾患といえよう.ことに,熱傷患者の約半数が10歳未満の小児であること1)は熱傷による障害が単にその子供の身体的な機能障害にとどまらず,母親を中心とする家族,その周りの社会に与える影響は他の疾患に見られるものとは全く異なるものである.そして,多岐にわたるリハビリ上の問題点を解決するためには,まさに,リハビリ・チームの密接な連携が不可欠となる.
本稿では,小児の熱傷に見られるリハビリ上の問題点をうきぼりにするとともにその対策の概観を論ずることとする.
熱傷の治療は一般的に急性期と慢性期にわけられるが,理想的なリハビリは受傷直後にはじまり長期にわたるフォローアップを要するものである.
熱傷の急性期治療は皮膚・皮下組織損傷の深達度と範囲の診断ならびに,重度の熱傷では,救命救急処置にはじまる.すなわち,患児がショック状態になる場合には蘇生術と心肺機能,腎機能維持と電解質,体液のバランスが急務となる2).
一方,この時期にリハビリ上で問題となるのは熱傷による疼痛,浮腫,関節の固定などが創による組織の短縮とあいまって生ずる関節拘縮と肥厚性瘢痕による機能障害である.ことに手指の浮腫は受傷後48~72時間で器質的な変形をもたらすとされており3),いかに急性期のリハビリが大切かということが解るであろう.以下に個々の問題点に対してのリハビリ・プログラムについてのべる.
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