Japanese
English
特集 電気刺激による治療と訓練
電気刺激とリハビリテーション医学―特集に寄せて
Electrical Stimulation and Rehabilitation Medicine.
千野 直一
1
Naoichi Chino
1
1慶応大学医学部リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
電気刺激
,
電気刺激療法
Keyword:
電気刺激
,
電気刺激療法
pp.759-760
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106354
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- Abstract 文献概要
電気療法の始まり
文献によると,医療の中に電気刺激療法が取り入れられたのはかなり昔,すなわち西暦17世紀の中ほど頃からであるとされる1).初期に用いられ,原始的な器具で発生させる電気とはどんなものであったろうか.最近の医用機器になじんでいる我々には想像もつかない.ただ,電気というものを考えるとき,いわゆる電気ショックによって,筋肉がピクッと動かされるのを先人は観察し,何らかの神経麻痺などによって動かなくなった筋肉に電気ショックを与えて,その筋肉を動かし,それが神経筋の回復に役立つと考えたであろうことは想像に難くない.事実,麻痺した指に電気治療(electro-therapy)を施し,患者はピアノを弾けるようになったということが1744年に発表されている2).
一方,電気が発見されたときには,何か新しいもの“something new”,不思議なもの“by magic”とされたようで,不眠症とか,喘息,便秘,寄生虫などに試みられた.18世紀の末,Galvaniが出るに及んで,電気そのものの性質がカエルの神経や筋肉を用いてより科学的に確かめられた.そして,19世紀の中期にはDuchenneが麻痺患者の治療の手段として精力的に電気療法を神経筋疾患の患者に広く利用した.
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