書評
Margaret Johnstone 著 平井俊策 監訳―脳卒中リハビリテーションへのチームアプローチ法
江藤 文夫
1
1東京大学医学部リハビリテーション部
pp.118
発行日 1990年2月10日
Published Date 1990/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106215
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リハビリテーション医学はチームアプローチと物理的手段の適用を特徴とする診療部門である.脳卒中はその対象となる代表的疾患の一つである.ここで,患者の治療にかかわる人々全員が,個々の患者の障害を十分に理解し協力し合うことがなければ,最大限可能な回復レベルに到達する患者の機会を失わせることになる.まずお互いに各専門職種の機能と役割を理解することが大切である.
本書は患者の機能回復を目指す理学療法の基本的原理として「感覚入力を高めること」を強調し,その方法について具体的に述べている.すなわち,初期集中看護の段階から集中的な理学療法の時期を経て家庭復帰に至るまで,一貫して感覚入力を高め,痙性を抑制し,完全な機能回復をもたらすために,看護婦,理学療法士,作業療法士がそれぞれの場で何をなすべきかについて解説している.さらに運動機能障害だけでなく,コミュニケーション,特に言語障害においてもチームアプローチの大切なことが補足されている.本書は専門家としてリハビリテーションに携わる人々にとっても興味深いものであると同時に,脳卒中の基本的ケアに携わる看護婦にとっては実用的な知識を数多く提供してくれる実用の書である.誰もが容易に理解できるように意図されたものであることから,内容は平易で具体的である.
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