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はじめに
現在,疾病,交通・労働災害,貧困などの原因から,障害をもつ人々が世界に5億人に達し,これらの障害に対する義肢・装具・車椅子を初めとする福祉機器がリハビリテーションの重要な地位を占めている.このため,この分野における国際的な情報の交換や教育の場が必要となり,ISPO(International Society for Prosthetics and Orthotics,国際義肢装具連盟)が世界における義肢装具およびリハビリテーション工学に関する国際的な団体として1970年に生まれ,その役割を果たしている.
ISPOの目的は,国際協力を通じて義肢装具やリハビリテーション工学に関する教育,臨床,研究に従事している医師,義肢装具士,PT・OT,リハビリテーション工学研究者など専門職種のチームアプローチを基本として,できるだけ高度の義肢装具に関する技術を世界的に広げていくことにある.この目的に沿って,各地域においてセミナー,雑誌の発行,開発途上国への援助などが行われているが,そのもっとも大きな事業が3年毎に開かれている世界会議である.この世界会議は1974年スイスのモントルーで第1回が開催されてから,ニューヨーク,ボローニャ,ロンドン,コペンハーゲンで5回の世界会議が開催されその経過の中で,日本に対する期待が国際的に高まり,1985年にISPO理事会において,全員賛成の下に第6回の世界会議を日本(神戸)で開催することが決定した.
ISPO世界会議は,各国の支部より選ばれた国際委員の中から,理事が選出され,この理事会の下に国際会議委員会(表1)が設けられ,年2回Copenhagenで開かれる会議にて世界会議に関する予算,プログラム,展示,参加費,社交行事など細部にわたる決定がなされる.
今回の世界会議の準備は,すでに5年前よリスタートしたことと,英,米,北欧,西独,オーストラリアなど主要各国の心暖まるすばらしい協力体制の中ですすめられたため,従来の世界会議に比較して,次に述べるようにプログラムや社会行事などの大体の内容を早く決定することができた.また,この数年来,ISPOとの連携がうまくいっていなかったInterbor(国際義肢装具士協会)との関係が日本義肢協会川村一郎理事長の御協力を得て修復され,その協賛をとりつけることができたことは,ISPO自体にとっても大きな前進と受けとめている.さらに,ISPO本来の目的の中で,開発途上国に対する国際的な援助が重要な地位を占めることから,日本障害者リハビリテーション協会,および日本テクノエイド協会にその主催団体として依頼し,快くお引受けいただけることになった.この世界会議が一般的な国際学会のレベルを超えた国際協力的な内容が多く含まれているため日本の国として,取り組む会議となり厚生省に多大の御理解と経済的な御援助いただいていることを深く御礼申し上げたい.
以上のような順調な経過の中で,企画調整委員会で大体の方向づけを行い,プログラム資料,会場,財務,式典・行事,広報,展示の各種委員会により精力的にすすめられてきている.ここではその中のプログラムを中心に報告する.
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