Japanese
English
調査
身体障害者福祉制度における音声言語機能障害者の推移とその背景
Study on The Peaple with Speech Disability in The Social Welfare System.
久力 周子
1
,
今田 拓
1
,
石垣 真
1
Chikako Kuriki
1
,
Hiraku Imada
1
,
Makoto Ishigaki
1
1宮城県拓杏園
1Takukyouen, Miyagi Prefecture.
キーワード:
身体障害者手帳
,
脳血管障害
,
失語症
Keyword:
身体障害者手帳
,
脳血管障害
,
失語症
pp.895-899
発行日 1988年11月10日
Published Date 1988/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105953
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はじめに
全国の主な病院や施設で昭和59年に取り扱った失語症患者数は16,542人,失語症以外の脳損傷による言語障害者は,7,942人という長谷川ほか1)(1986)によるアンケート調査の報告にもあるように,脳血管障害に伴う言語障害者数だけを推定してもかなりの数になると思われる.
一方,失語症患者の社会的予後については,同調査によると,職業復帰できたのはわずか12.4%で,その内,原職復帰者は名目復帰を加えても68,4%である.また,多数の失語症患者を対象とした笹沼2)(1927)や福迫ほか3)(1986)の研究でも,原職復帰はそれぞれ11.5%,15.7%とほぼ同様の結果となっており,言語障害者の社会復帰の困難さを示しているといえよう.
身体障害者福祉法における身体障害者の範囲が拡大されてきている中で,言語障害者はこのような社会生活上の困難さを抱えているにもかかわらず,他の障害種別に比べて身体障害者手帳交付は著しく少ない4).しかし,言語障害者を身体障害者福祉の分野から調査したものはほとんど無く,その実態はあまり知られていない.
今回われわれは,成人の言語障害者の実態を把握するために,宮城県における身体障害者手帳交付状況についての調査を行った.その中で,音声言語機能障害の過去20年間の交付状況の推移を追うと共に,言語障害と密接な関わりを持つ脳血管障害による肢体不自由についても検討したので,その概要を報告する.
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