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特集 末梢神経損傷とリハビリテーション
末梢神経損傷修復後の神経再生時における神経伝導速度,軸索内の流れと運動機能
Nerve Conduction Velocity and Axonal Transport of Nerve Regeneration after Nerve Repair.
山野 慶樹
1
Yoshiki Yamano
1
1川崎医科大学整形外科学教室
1Department of Orthopedic Surgery, Kawasaki Medical School.
キーワード:
末梢神経再生
,
神経伝導速度
,
軸索内輸送
Keyword:
末梢神経再生
,
神経伝導速度
,
軸索内輸送
pp.933-939
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105293
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はじめに
末梢神経の再生は中枢側断端から出る再生軸索の尖端が少し膨大して,ここから多くの繊細な突起が伸縮をくり返しつつ伸びていく.縫合部を通過して末梢側のSchwann tubeすなわちBungner帯に導かれそれぞれの終末奏効器に到達する.
末梢神経には,運動,知覚,自律神経があり混在しているので,再生神経はそれぞれの終末奏効器に到達せねばならない.神経再生が起こっても,例えば,再生運動神経が機能するにはもとの支配していた筋,すくなくとも筋に到達する必要がある.このメカニズムは発生の過程と似ており,古くはCajal(1928)の“neurotropism”Weiss(1934)の“contact guidance”説があり,中井らは「化学的触診説」を呈示している.末梢神経の再生にもこれと同じような機序により再生伸展した神経線維がもとの支配していた部位に到達すると考えられる現象が認められている.こうして神経筋接合部に到達した再生運動神経は分岐してmotor unitを拡げていき,次いで軸索が太くなり髄鞘が厚くなって,次第に成熟化していく(図1).
この成熟過程をみるには,一般に電気生理学的検査法が用いられるが,これはnon-invasiveな方法で臨床例にも用いられ,伝導速度(ここではM波を用いた運動神経伝導速度,以下MCV)は運動神経の軸索径や神経筋接合部の形成に関与しているため,再生神経の状態をよく推測できる.
最近注目されている軸索の流れは神経の病態生理的な面をみる上で有用であるが,運動機能と必ずしも関連しないので分けて述べる.
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