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はじめに
靴挿入式短下肢装具(Shoe Insert Ankle-Foot Orthosis:靴挿入式AFOと略す)は従来から金属と皮革及び非熱可塑性plastic材料を用いたrigidなものが一般的に用いられていたが,外観,弾力性,適合性や重量などの点で不満足な面が多い12,22),近年新しい熱可塑性のplastic材質が開発されてきて10,28,29),靴挿入式AFOに応用されているが,着脱動作,かさばりの問題から,破損や皮膚損傷など様々な問題がある.これらは材質の改良とAFOデザインの工夫で解決を日差す問題である.
材質の耐久力,易加工性からいってオルソレン(Ortholen:熱可塑性のpolypropyleneで,西ドイツTeufel社製1,22))の出現は画期的であったが,その後ポリプロピレン9,21)やサプオルソレンといった更に加工しやすい材料が市販され出した.デザインについてはIRM Spiral AFO3,14,15),Teufel22),Rancho22),TIRR7,22),NYU Insert Orthosis6,22)など多数発表されているが3,26,28),これらは着脱の困難性や麻痺側の靴のサイズを一段太めにしなくてはならないといった問題をみている.一方,適応患者の絶対数からみた場合,これらAFOの用途は以前の弛緩性麻痺足に代って殆んどが痙性を有する脳卒中片麻痺患者に移っている.
1974年,カナダのSunnybrook Medical CenterのEdward Rice23)が紹介した靴挿入式のpolypropylene AFOはTlRR-AFOにみられる踵部のくり貫きを広めにしたものであって,当院で追試した結果使い易く,患側靴を一段と大きくする必要も少なく,患足変形にも可成り耐えることが判った.私共はこれにいろいろ改良を加え,軽度~中等度の痙性を有する片麻痺患者の内反尖足位コントロールに十分耐え得るデザインを使って検討を重ねて来たので,デザインの変遷の経過と,強い痙性を有する患者に応用するときに必要な小外科的処置について述べる.
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