一頁講座 自助具・1
自助具の有効性と限界
上田 敏
1
1東大病院リハビリテーション部
キーワード:
自助具
Keyword:
自助具
pp.77
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103089
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- 文献概要
自助具(Self-help device*)は障害者の自立性を高めるための有効な手段のひとつである.しかし,それはもちろん万能でもないし,またしばしば思いもかけない制約をもっているものでもある.経験の浅い医師やセラピスト,善意の一般人や障害者自身(もちろん自分についてではなく,他の障害者についてだが)までがしばしばおかす誤りは,障害者のもつ障害のごく一面だけをみて(その全体をみることなしに),その一面と,ある自助具の機能とをストレートに結びつけて,その自助具で彼の問題は解決されるに違いないと信じこみ,いわば「善意の押し売り」をしてしまうことである.
そのようにして与えられた自助具の多くは,実際に使ってみると思ってもみなかった面の制約のために役に立たなかったり,使いにくかったりするし,また総じて,障害者の心理を考慮しないで「押しつけられた」自助具のほとんどは彼の「無言の拒否」にあって使われないでしまうことが多い.
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