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はじめに
大学病院における現代的なリハビリテーション活動の歴史はわが国においてはそれほど長くはない.米国においては,Rusk,Deaverらによって,ニューヨーク大学の関連病院(affiliated hospital)としてのBellevue Hospitalで戦後ただちにリハビリテーション・サービスが始められ,1949年には大学病院の一部として現在のInstitute of Rehabilitation Medicine(IRM)が建設され,その後も発展をつづけつつ,米国のリハビリテーション医学の展開に大きな役割を果たしたことは有名である1),このように30年以上の歴史をもつ米国にくらべ,わが国では,大学病院の中央診療部門としてのリハビリテーション活動がはじまったのは1963年(東大)2,3),病床をもった診療科が設置されたのは1968年(横市大)4),リハビリテーション医学の講座が設置されたのは1974年(独協医大)と,最大限にみても15年余であり,特に重要な講座の設置からはまだわずかに5年しか経過していない.
大学病院におけるリハビリテーション活動の意義・役割は,いうまでもなく医学教育(看護,理学療法,作業療法,その他の関連職種の教育も含めた広義の)に対する貢献が第一義的なものであり,またリハビリテーション医学の研究の場としての意味も大きいと考えられる.しかし,同時に大学病院も総合病院としての診療活動を行っており,教育も研究も質の高い診療活動を基盤にしてはじめて成立ちうるものである.この意味で大学病院におけるリハビリテーション診療活動はそれ自体,全体としてみたリハビリテーション医療網の一環であり,リハビリテーションの本来の性格からして地域医療的な性格をももつとともに,一方では大学病院の特殊性から,新しい疾患,特殊な疾患に対するリハビリテーションの診療技術を開発し発展させるという二重の役割を果しているものと考えられる.
本論文では「一般病院におけるリハビリテーション活動」という特集の一部として,大学病院におけるリハビリテーション活動の診療的側面に限って検討を加える.内容の中心は東大病院リハビリテーション部の過去15年の活動の分析であるが,それに先立って,まず,全国的な状況と,一部の進んだ大学病院の状況について簡単にのべることにしたい.
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