書評
今井銀四郎編「脊髄損傷ハンドブック」
明石 謙
1
1川崎医科大学リハビリテーション科
pp.373
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104157
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「脊髄損傷ハンドブック」という書名を見た時の感想は「ハンドブックにしては小さい本だな」という程度である.しかし,内容を読み進むにつれて,「便利な本だな」というようなものに変ってしまって,今でもその感じを持ち続けている.
この本の特徴は,主な項目が解剖,発生と疫学,症状,治療,リハビリテーション,心理,看護,社会復帰,社会保障となっており,1つの脊髄損傷の教科書とも思えるのだが,それぞれの中の小項目は独立しており,どちらかというと百科辞典風である事に気付く.したがって,初めの章を読んでいなければ後の方は全く理解できないというものでも無く,必要な項目を目次や索引で探しその項を読めばよいという事になる.しかし,その説明は百科辞典のように大体の事を説明するに止どまってはいない.例えば導尿法は多くの頁を用い,写真,図ともに念入りで実際的である.また,看護の項も手引書のように,実施要領のような書き方であり,あくまで実際的である.このような所のみを紹介すれば脊髄損傷マニュアルのように思われる方もいるかも知れないが,数多くの症例統計も用い,新しい知見も盛り込まれ,堂々としたハンドブックの内容ももちろんそなえている.
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